山梨大学大学院工学総合教育部修士課程(工学領域)人間システム工学専攻

How?ー人を知る、要素技術を知る、現場を知ることから始まります。

 工学を人間に役立てることは、まず人間を知ることから始まります。その上で、人間のために何をどう改善したらいいのかを考えることができる、幅広い素養を持った人材の教育を目指します。
 そのためには、最先端技術を身につける「専門教育」に加え、視野の広さと実践を重んじたカリキュラムを準備すると共に、定員18名の学生に対し専任教員15名による複数指導教員制、複数の異なる研究分野を持つ教員グループによる教育を行い、工学を人間とその生活や暮らしに積極的に適用することのできる人材育成を行います。 @人を知る→医学と連携した講義
A要素技術を知る→オムニバス形式のホットな話題の提供
B現場を知る→企画発案能力を育てるインターンシップ
 1年次には、「人間システム工学特論T」、「人間システム工学特論U」ならびに「インターンシップ」といった必修科目を学び、「人間システム工学特論T」で医学分野も含めた基礎知識を、「人間システム工学特論U」では「要素技術の概観」、「工業デザイン」を、さらに「インターンシップ」で実社会での工学に対するニーズとそれに応える企画を作成する能力を習得します。これらにより、何が要求されていて、何が現在実現可能で、どこに問題があるのかを理解することを目指します。
 次に選択科目としては、人間との関わりに焦点を絞った機械工学、電気・電子工学、情報工学、土木工学、環境工学等の応用分野について、4つの教育分野で構成されるカリキュラムにしたがって専門教育を受けます。学部教育を通して習得した素養に加え、本専攻では、「人間社会のマネージメント」、「人間とのインターフェース」、「人間指向の機器デザイン・ファブリケーション」及び「プロービング・センシング」の4つの異なる教育分野から、少なくとも3つの分野の授業科目を修得し、これまでにない広い視野を有し、かつ人間をよく理解する人材となることを目指します。
 さらに修士論文のための研究指導は主指導教員のほか2名以上の異なる研究分野の教員による複数指導体制をとります。これらにより、多方面の分野間の融合と幅の広い見識を身に付けることが可能となるのです。

多様な授業内容と多彩な指導教員(H20年10月末現在)

ナノマテリアル特論
教 授/秋津 哲也
マイクロプラズマビーム源の開発と応用
  • バイオマテリアルとエレクトロニクスの融合領域で電気工学を生かした大気圧プラズマ、静電スピンニング、静電スプレイを用い、高分子機能性材料の創製を研究します。
    大気圧プラズマは希ガスや窒素などを用いて、通常の大気圧で高分子材料の表面の修飾や微細加工に使用する励起状態を発生する技術です。
    マテリアル加工の研究とともに、全国規模の共同研究で、微生物やウイルス、エンドトキシン、CJ症ブリオン、生体組織や細胞の不活性化、乾燥失活の研究に用いられています。
ユビキタスナノプロセッシング特論
教 授/近藤 英一
マイクロ・ナノ電子機械システムの材料と加工技術、並びに超臨界流体利用技術に関する研究
  • 快適な社会をつくるにはどうすればよいかを「極微小世界のものづくり」から研究しています。
    部品のサイズが小さくなれば、機器は軽量、高性能に、そしてより省エネになります。老若男女からだの機能の差なく、街角でも山中でも飛行機の中でもどこでも、歩行中でも食事中でもいつでも、ストレスなくひとと社会と交わっていけるようなハードウェハのあり方・作り方について一緒に考ましょう。
安全・安心マネージメント特論
教 授/鈴木 猛康
防災・危機管理を中心とした安全.安心科学技術に関する研究
  • 地震災害・豪雨水害・火山噴火等の自然災害軽減、テロ等の人為的災害の軽減を目的として、防災、危機管理の研究を行います。
    従来の工学領域を越え、安全・安心な社会構築のための体制、組織、手法等のソフト技術と、構造、装置、情報システム等のハード技術をバランスよく配し、地域社会や住民、地方自治体、公共機関や防災関連産業との協働により、実際に役に立つ仕組みやものをつくる現場重視の実証的研究を展開します。
皮膚光学特論
教 授/藤間 一美
光を演出する工学手法、光源、材料の研究
  • 目に見える光の衝突や散乱ほど理由なく楽しく美しいものはありません。
    電子や電磁波の散乱をあつかう物理の方法を、光源そのもの、散乱や色を制御する物質の設計などに応用したいと思っています。
    たとえばプラズマの設計、光ファイバー、化粧品の粉体などがその対象です。
    目に見える光の色、つや、肌理といった特徴を人間はどう認識するのか、それをどうやったらコントロールできるのか、奥の深い研究テーマです。
シミュレーション工学特論
教 授/本田 建
最高エネルギー宇宙線の研究
  • 宇宙から地球上に降ってくる放射線、原子核を宇宙線と総称します。
    エネルギーの非常に高い宇宙線を観測して、何処で作られてどうやって地球にやってきたのかを調べれば、宇宙でおこっている現象が解明できます。
    これらの実験には、最新のエレクトロニクス機器、情報通信、収集の技術が要求されます。
    また、得られたデータの解析に、統計処理やシミュレーションも必要です。このように技術を総合することは工学のどのような融合分野にも共通に必要な技法なのです。
人間指向機器加工学特論
教 授/吉岡 正人
硬脆材料の超精密機械加工法及び加工機構の研究
  • 硬いけれど、もろく割れやすい材料があります。
    たとえばシリコン、ガラス、アルミナなどといった有用な材料を効率良く高い精度で加工、研磨する研究しています。
    計算機シミュレーションや高速度カメラによる観測などによって割れる理由、メカニズムが分かれば壊さずに加工することが可能です。
    逆に割れる原因を巧みに利用すれば加工もできます。
    ガラスに生じるヒビをうまく利用したこれまでにないガラスの割断法の開発もおこなっています。
超音波工学特論
准教授/石井 孝明
強力超音波利用アクチュエータに関する研究
  • 一秒間に20000回以上の振動を一般に超音波と呼びます。
    この超音波振動を利用して 何らかの仕事をさせるデバイスは超音波アクチュエータと呼ばれ、多くの分野で使用されています。
    特に超音波を利用したモータは摩擦力で動力を得る点が従来の電磁式モータと駆動原理が異なっており、その新しい特徴が新規の応用例を発掘したり従来型モータで応用が困難だった場面で利用できたりと、技術的発展が大いに期待されているデバイスの一つです。
マイクロエレクトロニクス特論
准教授/加藤 初弘
マイクロデバイスに関するデバイス物理とシステム設計の境界領域を研究
  • マイクロデバイスの内部を覗きこむと、ウイルスのサイズにも迫る微細な加工が施されています。
    このような微細な世界で生じる固有な現象を積極的に利用することで、新たなデバイスを実現できないかと研究しています。
    このような研究には、技術・人間・社会などの広い視野も大切ですが、異分野との邂逅を楽しむ精神も必要だと思います。
画像処理工学特論
准教授/小谷 信司
知能移動ロボットの誘導とビジョンによる環境理解
  • 自分から動き回るロボットが身近な存在になってきました。
    それらのロボットの多くが視覚センサーだけを用いた画像から周囲の状況を認識するなかで、異なる多くのセンサーを搭載してまわりの状況を適格に判断しながら行動するロボットを作りあげることが目標です。
    それらの医学、福祉への応用としては障害者を補助するロボットが挙げられます。
    ほかにも金魚すくいロボット、オセロをプレーするロボットなどの楽しい応用もめざしています。
多次元生体信号処理特論
准教授/阪田 治
多次元生体信号解析理論およびその医療・食品工学への応用に関する研究
  • 多次元信号処理理論の研究開発、およびその医療・食品工学への応用に関する研究を行っています。
    医療工学関連では、臨床脳波解析、心電図・筋電図解析、腹部音響解析等を主な研究対象としています。
    食品工学関連では、食品に対する人間の感性について生体信号解析技術を駆使して調べています。
    互いに深く関連しているこれら2つの学問領域に、両者の基礎となる信号処理工学を併せて、医工農の融合領域を研究対象としています。
都市生活デザイン特論
准教授/佐々木 邦明
人間の生活・行動をベースとした都市システムの解析
  • 都市を考えるとき、そこに集い・住み・働く「人間」がもっとも重要な要素でになります。研究室では特に都市インフラの研究を交通をベースに行っていますが、交通は都市における生活そのものから派生する需要という側面が大きいので、都市における生活という原点から見直す視点が必要です。
    よりよい都市をデザインする基礎的な研究として、生活スタイルや人の意識が都市インフラなどとどのような関係にあるのか、行動科学的な視点から研究を行っています。
量子光工学特論
准教授/張本 鉄雄
超高強度・極短パルスレーザー光を用いた非線形光学現象
  • 張本研はレーザー技術を社会に還元する努力をしています。
    たとえば夢の新エネルギー源と期待されるレーザー核融合のための超高出力レーザーの光学設計などもその一例です。
    ペタワット級レーザーのために非線形効果を用いたチャープパルス増幅・短波長発生・サイクロパルス発生装置をそのために設計しています。
    その一方で小型のマイクロチップレーザーを開発して情報通信や医学計測にも役立てるとともに、高出力レーザーを使ったシリコンウェーハの効率の良い加工技術も提供しています。
 
助 教/石田 和義
トライボロジーに関する研究
  • “トライボロジー”は摩擦・摩耗・潤滑などに関連する諸現象を扱う科学・工学の一分野です。
    また、生物のトライボロジーは“バイオトライボロジー”と呼びます。人の関節はとても潤滑がよいので、摩擦も極めて小さく、きしみ音もなく、摩耗もしません。
    ところが関節の病気の治療に使われる人工関節は摩擦や摩耗が大きくて、まだとても生物にかないません。
    究極の人工関節を目指して研究を進めています。
 
助 教/平 晋一郎
微細加工における加工精度の向上および加工機構の解明に関する研究
  • マイクロメーター(1000分の1mm)〜サブミリメーター(1mm以下)の微小な構造物を、精度良く加工するための研究を行っています。
    加工する材料は、鉄鋼やアルミニウム合金などの金属、アクリルやポリカーボネートなどのプラスチック、ガラスやシリコン単結晶などの無機材料など多岐にわたります。
    また加工する方法も、切削・研削加工や成形加工、放電加工、レーザー加工など多種におよびます。
 
助 教/渡辺 寛望
視覚障害者支援装置に関する研究
  • 人間は目からとても多くの有用な視覚情報を得ることができます。 その視覚情報の処理の仕組みを解明すれば、逆に視覚障害者の生活を支援する装置を作ることができます。
    障害者に代わって周囲の状況を把握し安全を確かめるだけではなく、目的地まで誘導するカーナビよりはるかにきめ細かく高度な機能がそれらの装置には必要です。
    同時に安全に、一緒にどこにでも連れて行ける使いやすい装置を目指して日々研究を重ねています。

必須科目と4分野選択科目

分野1ー人間社会のマネージメント 安全・安心マネージメント特論
都市生活デザイン特論
○選択
○選択
自然ならびに人為的災害に対して安全・安心を確保するためのリスクマネージメントやクライシスマネージメント、快適な生活のための都市のデザインやマネージメントについて、基礎ならびに応用技術を身につける。
分野2ー人間とのインターフェース 画像処理工学特論
マイクロエレクトロニクス特論
多次元生体信号処理特論
シミュレーション工学特論
○選択
○選択
○選択
○選択
脳波・筋電・心電・生体音響などの多次元信号処理、それらの信号と集積回路の関係、計算機によるシミュレーションの技法、広範囲な画像処理、分析の技法を学ぶ。
分野3-人間指向の機器デザインファブリケーション 人間指向機器加工学特論
ユビキタスナノプロセッシング特論
ナノマテリアル特論
○選択
○選択
○選択
人間や社会システムとの調和を目指した機器の設計、加工、情報機器の製造やバイオマテリアルの表面加工といった最先端の物作りの手法を理解する。
分野4ープロービング・センシング 皮膚光学特論
超音波工学特論
量子光工学特論
○選択
○選択
○選択
音波、レーザー、可視光、紫外線といった種々のプローブを用いて人間を測る方法を知る。
必須ー共通科目 インタ−ンシップ
人間システム工学特論T
人間システム工学特論U
◎必修
◎必修
◎必修
インターンシップでは工学技術が応用される現場を知り、企画発案する能力を、人間システム工学特論Tでは人間を知るという目的で医学の基礎を概観し、人間システム工学特論Uではオムニバス形式で要素技術を鳥瞰するとともに、人間にとって安全、快適な形を作るための意匠デザインの考えを学ぶ。